都市部での洪水防止策を制定
Shanghai Investigation, Design & Research Institute Co., Ltd.
都市の雨水・洪水管理プラットフォームの建設
SIDRIは、80億元の水理解析システムを構築することで、中国江西省九江市の洪水および湛水の問題を解消しました。
プロジェクトの主な詳細情報
- プロジェクト: 都市の雨水・洪水管理プラットフォームの建設
- インフラ成果物: 都市規模の3Dリアリティ流体力学モデル
- オーナー: 中国長江三峡集団
- リードエンジニア: Shanghai Investigation, Design & Research Institute Co., Ltd.
- 竣工日: 2021年
SIDRIは詳細な水理情報を取り入れたリアリティモデルを作成し、多数のwhat-ifシナリオの影響を判定可能にしました。
市ではモデルから得た情報を基に、水流の改善、住民の保護、将来の天候関連事象への対策を行うことができています。
深刻な洪水事象の影響が変化の推進力に
2020年に発生した長江の大規模洪水では、141人が死亡し、3,800万人以上が住む場所を失いました。九江市では、この洪水の前にも、都市化の加速によって溢水や湛水が次々と発生しており、市は防止策を策定できずにいました。将来の洪水事象への対策を強化し、都市生活への影響を最小限に抑えるため、中国長江三峡集団はShanghai Investigation, Design & Research Institute(SIDRI)に、市内のさまざまな水の状態をシミュレーションできる水理解析システムの構築を指示しました。しかし、洪水制御と排水システムの現状に関する十分なデータを得られていませんでした。
より詳細なデータを求めて
情報提供を目的としたこの水理解析システムに求められていたのは、詳細データの明確な表示、洪水制御作業の計画策定、緊急事態のピンポイント予測などの機能でした。救急隊の出動に要する時間を短縮するために、頻繁に更新される水理データに簡単にアクセスできることが必要でした。SIDRIは、重要な情報を提供するためにリアリティモデルを作成する必要があると判断しました。しかし、技術的な飛躍のためには、従来の水理モデリング手法を超えて、IoT(モノのインターネット)データを組み込み、洪水リスクの軽減方法の決定に必要な知見を得られるソフトウェアが必要になります。
リアリティモデル内での水理モデルのリンク
SIDRIは、Bentleyのアプリケーションを使用すれば、市の洪水防止目標をすべて支援するリアリティモデルを作成できると判断しました。最初に画像を収集した後、ContextCaptureを使用して21平方キロメートルに及ぶ領域のリアリティモデルを作成しました。そのモデル内で、OpenFlows FLOODとOpenFlows SewerGEMSを使用して、1次元および2次元の流体力学モデルを作成し、リンクしました。IoTセンサーにより、これらのモデルは実時間計算を提供できます。最後に、LumenRTを使用して3Dリアリティモデルを流体力学モデルに統合し、洪水事象の動的なアニメーションを作成しました。
リアルタイムデータによる緊急時対応の改善
湛水の予測が可能になった同市は、危機的な排水の問題を事前に把握して対処できるようになりました。リアリティモデルにリアルタイムのデータをオーバーレイすれば、浸水時の緊急対応も適時に行うことができます。直感的で正確な解析により、同市は緊急対応計画を最適化したほか、水流の改善、住民の保護、将来の天候関連事象への対策に必要なインフラのタイプを特定しました。
インパクト
持続可能で耐久性の高いインフラの整備、および国連の「持続可能な開発目標」の進展に貢献
- 危機的な排水の問題に対処し、洪水を防止
- 水流を改善し、将来の天候関連事象に向けて市で対策を実施